2021年4月20日付

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江戸時代後期ごろの木曽や飛騨で行われていた木材の伐採や運搬の様子を描いた絵巻物「木曽式伐木運材図絵」を中部森林管理局が所蔵している。同局の広報誌「中部の森林」で図絵の解説が1年がかりで連載され、5月号の最終回を迎えた▼明治10年代前後の作成と推測されている。鉄道もトラックもなかった時代、山中に小屋を建てて何カ月も暮らし、巨木をおので倒す杣人や、材木を山から出して木曽川に流し、名古屋市熱田区の白鳥貯木場まで届けていた様子が緻密な筆遣いで描かれ、手間と費用をかけた豪華な仕上がりが紙面の写真からもうかがえる▼険しい岩場で角材を作っている職人、沢に木材で組んだスロープのような構造物に水を流して材木を傷つけずに滑り落とす仕掛け、川に流した木材の上で逆立ちを披露している男性など迫力のある場面も印象的だ▼解説によると水上の木材の上で行う軽業は仕事に直接関係はないが、そのバランス感覚や身体能力で仕事の効率が左右されたといい、水上で材木を自在に乗りこなす男性には女性や子どもから歓声が送られたのではないか▼御柱祭や式年遷宮の行事の中に残っている作業を連日行っていたようなもので、現代に再現できたら、たくさんの観光客が押し寄せるだろうと勝手な想像をする。図絵は一般公開はしていないが、同管理局がホームページに掲載している。今後の活用に期待したい。

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