2021年5月18日付

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世界最高峰のエベレスト登頂に日本人で初めて成功した故植村直己さんは、その後いったん登山から離れ、北極圏などの極地を犬ぞりで移動する冒険に切り替えた。野外で素肌をさらせば、すぐに凍傷になる極寒の地でテントを張り、暖をとったのは北欧スウェーデン製のプリムス灯油ストーブ(コンロ)だった▼植村さんは過去にガソリンコンロを使い、誤ってタンクからあふれた燃料に引火した経験があり、安全面から発火点が高く、あえて着火に時間が掛かる灯油コンロを使っていたという。生前「(極地では)着火までに5分。火がつくと一安心だった」と振り返っている▼新型コロナウイルスの感染拡大で、人混みを避けて楽しめるキャンプが人気だ。昔、長くキャンプ生活を送っていた時期があり当時はガソリンコンロを使っていた。愛用品は火力が強く、一度の給油で炊飯とおかず作り、コーヒー用の湯まで沸かせて頼もしかった▼キャンプと言えばたき火だが、たき火をしなくても青白いコンロの炎を見詰めれば、やる気が湧く。雨続きで気がめいった時でも火に手をかざせば気分が落ち着いた▼キャンプをしていると、日ごろのストレスがはがれ落ちて素直になる。植村さんは「人間には、原始的な生活を求める本能があるのではないか。文明が発達すればするほど、自然の中で原点に返る体験が必要になる」という旨の言葉を残している。

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