2021年5月19日付

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《公民館への回帰》と言えば少し大げさだが、公民館を大切にする取り組みが増えてきたように思う。生涯学習の中心となる公立の公民館ではない。住民がお金を出し合って建設した集落単位にある「自治公民館」への愛着である▼茅野市高部区は築70年以上の古い公民館を建て替えた。同区出身の建築家、藤森照信さんに設計を依頼。屋根を貫いて林立する丸太の皮むきや、外壁材に用いる「焼杉板」づくりといった作業に多くの区民が参加し、ともに汗を流した。諏訪信仰と関係の深い同区にふさわしい野趣に富んだ外観で、2階建てを平屋建てにした判断に高齢者への配慮もにじむ▼全国公民館連合会が2002年に実施した全国調査によれば、自治公民館は7万6883館。長野県には1317館ある。これは明治時代の町村数とほぼ合致するという。公民館には決まって集落の歴史を物語る書や住民の集合写真が掲げられ、心のより所となっている▼18日現在の市町村数は1718。人口減少を受けて公共施設の統廃合が進む一方で、住民が集い、支え合う身近な公民館の存在意義は高まっていると思う▼ただ、全公連の職員は自治力の低下を嘆いていた。みんなで地域に関わり、成し遂げる意識が薄れているという。公民館には、わたしたちが遠ざけてきた喜怒哀楽を共有する人間関係が今も残る。見事完成した高部公民館の威容に学ぶことは多い。

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