イスラエルとハマス停戦祈る 共同演劇林さん

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インターネットを通じて東エルサレム在住の日本人女性と情報交換する林さん

イスラエルとパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスの交戦は状況が悪化し、終息の見通しが立たない状況が続いている。日本とパレスチナをオンラインで結び、共同で演劇作品を制作して今月1日に上演とインターネット配信を行った東京都市大学塩尻高校3年の林充希さん(18)=諏訪市豊田=は、演劇を通じて知り合った現地の日本人らと情報を交わしながら、早期の停戦実現を祈っている。

林さんは上演後も制作に携わった国内や現地在住の日本人と主に無料通信アプリで情報を交わしている。ハマスがエルサレムの方向にロケット弾を発射し、交戦が始まった10日前後から、現地の様子を気遣うやり取りが増えた。衝突はガザだけでなく、ヨルダン川西岸にも広がっており、被害は拡大する一方だ。

17日には、林さんと上演にかかわったパレスチナ人居住地域の東エルサレム在住の日本人女性と、ウェブ会議システムを使って情報交換した。本紙記者も同席した。

女性によると、東エルサレムでは、パレスチナ人とユダヤ人の対立はイスラム教の断食月「ラマダン月」(日本時間で4月13日ごろ~5月12日ごろ)が始まる4月半ばごろから深刻化した。

ラマダンに合わせて多くのパレスチナ人が集まる旧市街入口の門近くでイスラエル警察がパレスチナ人の出入りを制限し、反発が起きて多くの負傷者が出た。東エルサレムのシェイク・ジャラ地区に住むパレスチナ人に対しては立ち退きが迫られており、抗議デモが激化している。今月7日にはラマダン月最後の金曜礼拝が行われていたモスクに警察が突入し、催涙弾や閃光弾を撃ち込んで多くのけが人が出た。

女性は「三つの大きな衝突がハマスのロケット弾発射につながった」とみる。現地に赴任して約3年半、「ここまで状況がひどくなるのは初めて」と語った。

特に懸念しているのは「市民と市民の間で対立の感情が高まっていること」。右翼系のユダヤ人グループが「アラブ人に死を」と叫びながらパレスチナ人を襲う動きが出ており、加害者側を取り締まらないイスラエル警察にも不満の矛先が向いている。

「仮に空爆などがなくなっても、一度再燃した市民同士の感情の対立は沈静化まで長い時間を要するのでは」と表情を曇らせた。共同演劇に携わったパレスチナ側の関係者は現在のところ無事が確認されているという。

演劇には、パレスチナの街の明るくにぎやかな雰囲気やイスラエルが造った分離壁の存在を伝え、「日本人の心の中にある偏見や無関心といった『壁』を取り払おう」とのメッセージを込めた林さん。「上演後すぐにこんなことになるとは思わなかった。命を落とす人がこれ以上増えないでほしい」と強く願っている。

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