2021年5月20日付

LINEで送る
Pocket

住宅業界が大変な事になっていると、設計事務所を営む友人がため息をついた。輸入木材の価格が高騰し、建築にかかる経費も釣り上がったのだという。「ウッドショック」と呼ばれる問題の根源は、新型コロナウイルスである▼アメリカや中国で昨年来、過密を避けた地方での暮らしが注目され、住宅の新築需要が急増。世界中に供給されていた北米などの木材が一斉に両国へ集まり、日本は割を食う形で枯渇の憂き目に遭った▼ならば国産材で対処したいのだが、即座に輸入材と同等まで値下げできる手段はない。経費を抑えるにしても、木をふんだんに使った家を思い描く施主の希望はかなえたい。業界関係者が気をもむのも無理からぬことだ▼住宅は設計に施工、設備、林業、造園、家具製作など各分野のプロの仕事が組み合わさった結晶体だ。彼らは培った技と経験を注いで一軒を建て、しかるべき報酬を得て家族を養っている。他国の事情に端を発した問題に直面し、改めて思う。日本が継承してきた良き仕事と担い手を、何とかして守りたい▼コロナ感染防止策が最優先であることに異論はない。さりとて、暮らしを支える産業の停滞から目をそらしてもいけない。「木材不足でも、コンパクトで質にこだわった家を提案すると喜んでくれる施主もいる。工夫して乗り切るさ」。友人の力強い言葉に一筋の光を感じつつ、事態収束を願うばかりだ。

おすすめ情報

PAGE TOP