「表皮葉緑体」の機能解明 信大の入枝助教ら

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信州大学学術研究院(農学系)の入枝泰樹助教(39)=植物病理学=が20日、植物の表皮細胞に存在する小器官で機能が知られていなかった表皮葉緑体が、病原糸状菌(カビ)の表皮侵入を阻止する重要な役割を果たしていることを突き止めたと発表した。京都大学大学院農学研究科の高野義孝教授との共同研究で明らかにした。研究論文はオープンアクセスの英国科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。

入枝助教によると、植物の表皮細胞には、光合成を行う一般的な葉緑体とは異なる小型の葉緑体(表皮葉緑体)があるが、その役割や存在意義は不明だった。研究グループはカビと植物の互いの生存戦略を研究する中で、植物の表面葉緑体がカビに応答して表層側に移動する現象を発見。表層に移動する表皮葉緑体が病原菌に対する免疫に関与するのではないかと予想し、機能解明に取り組んだ。

研究では表皮葉緑体が免疫因子を搭載して細胞内を移動し、病原菌の侵入阻止に関与していることを解明。表皮葉緑体の表面移動に関与する植物のタンパク質を見つけ出すことにも成功した。

病害による世界の農業生産被害の7~8割が糸状菌(カビ・菌類)によって引き起こされているとされ、植物が備える免疫システムを解明して利用する研究は重要性が増している。入枝助教は「病原糸状菌の攻撃を受けた際に表皮葉緑体の移動効率を上げるなど、その機能を増強・制御する技術が開発できれば、病原糸状菌に抵抗性を持つ免疫強化型植物の作出につながる可能性がある」とした。

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