2021年5月28日付

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古生代の海に数億年にわたって繁栄したとされる節足動物「三葉虫」のとりこになった古生物学者のリチャード・フォーティ氏は述べている。〈もし一目惚れというものがあるのなら、私は14歳のときに三葉虫と恋に落ちたのだ〉と▼化石にその姿をとどめている。異様な外見に「蓼食う虫…」の成句が浮かんだ。爬虫類をペットにして偏愛する愛好者も嫌いな人からすれば理解しがたいだろう。個人宅から逃げた横浜市でのアミメニシキヘビの捜索騒ぎを見て好みは人それぞれだと改めて感じた▼空前のペットブームといわれるなか、外国産の珍しい動物を飼う人が増えているという。「エキゾチックアニマル」と呼ばれる希少な野生動物の取引にはしかし、密輸などの問題が絡む。希少生物のペット需要が高い日本は、世界でも有数の「輸入大国」だという▼野生動物との接触機会の拡大が感染症のリスクも高める。地球規模のパンデミックに直面し、「動物由来感染症」の怖さを思い知らされた。宿主となる野生動物の体内で静かに暮らしていたウイルスが「種の壁」を越え、人間に対し感染力を持つことがあるのだと▼捕獲されたアミメニシキヘビのつぶらな瞳は何かを訴えているようで、ヘビ嫌いを自認する筆者も情が湧いた。一目惚れするほど愛おしい命を守るために侵してはならない領域がある。野生動物との間に「ソーシャルディスタンス」を。

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