2016年09月08日付

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「何が聞こえるかな」。案内役の大人に問いかけられた18人の保育園児たちは、山道の途中で立ち止まり、目を閉じて耳を澄ませた。30秒間に気づいた音はセミ、ハト、小鳥、音楽…など。引率した大人の携帯電話の着信音も混ざってしまったが、短い時間にいろいろなものを聞き分けた▼伊那市富県保育園の年長園児らが、地元の「貝沼の自然環境を守る会」の案内で体験した自然探検。子どもたちは普段の園の散歩では行くことのない世界にも少し足を踏み入れ、野山にいる昆虫や獣、ため池や小川にいる生き物、植物、田畑で作られている作物を教わった▼古里の自然や風土、歴史を記憶に残して成長してほしい―と願って行っているそうだ。会員にしてみれば伝えたいことがたくさんあるようで、出発前の打ち合わせでは「去年の子どもたちは里芋がどんな葉っぱをしているのか知らなかった。今年はどこかで教えたい」と具体的だった▼古里の良さを知る大人たちの説明には、半世紀以上も前に遊んだ野山の思い出がちりばめられていて、昔ばなしを聞くようで楽しい。一方で、ため池で捕まえたというイモリやタイコウチ、ヌマエビが変わらぬ豊かな自然を教えてくれた▼森の中の音探しでは、木の葉がサワサワと揺れるのを感じ取ったのか、「風の音がする」と答えた園児がいた。人や自然に恵まれた環境の中では、こういう感性も磨かれていく。

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