2021年5月31日付

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アフリカ・エジプトの首都カイロに「サファリホテル」はある。リュックサックを背負って低予算で旅する人「バックパッカー」が多く利用する宿。宿代は日本円に換算して1泊数百円。特に日本人宿泊者が多く、1部屋に4~8人で寝泊まりする▼福岡県出身のK子さんは大学卒業後、豪州や南米、北米などを旅し、カイロ入りした。滞在中のサファリホテルで偶然相部屋となり、その後、私を含め男性3人とK子さんの4人で約3カ月間の生活が始まった▼快活な彼女は、何日かに一度行う宿泊者同士の食事作りを率先。日本人、外国人を問わず気を使い堪能な語学や話術で、失敗談を交えたエピソードを披露し、周囲をよく笑わせた▼帰国後に結婚し、1男2女に恵まれると、旅を封印して子育てに集中した。順風満帆と思われた矢先、実父が急逝。夫は失業、次の仕事がなかなか決まらず、実母も体調を崩した。K子さんは家庭を守りながら親を介護、夜勤の仕事で家計を支えた。そして、この春3人の子どもが全て就職し、社会人になった▼先日、彼女がバイクに乗って飯田市に現れた。「家族が旅行に行っていいっていうの」。そこでサファリホテルで会った面々に再会するという。「この20年間はつらかった。でも若い時に旅してよかったと思う。私にはいい仲間と思い出がある」と晴れやかな表情。「今後も動けるうちにいっぱい旅するわ」。

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