伊那北高にトインビー翻訳本 下島さん親族

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下島連さん

英国の歴史家アーノルド・J・トインビーの著書「歴史の研究」を和訳した翻訳家の下島連さん(享年78)=駒ケ根市出身=の親族が2日、下島さんの母校の伊那北高校(伊那市)に、翻訳本全25巻と写真資料を寄贈した。同校で開いた贈呈式には親族の吉澤康道さん(85)=駒ケ根市=と下島大輔さん(82)=同=が出席し、酒井茂同窓会長と埋橋浩校長に目録や現物を手渡した。

下島連さんは同校の前身旧制伊那中学校2回生。当時から英語を熱心に学び、京都大学を卒業後、東京大学大学院に一時在籍し、出版社を経て翻訳家になった。在日米国大使館にも16年間勤務した。

「歴史の研究」は歴史を国家観ではなく、文明盛衰の視点から論じた内容。親族によると、先の大戦に負けて「自信喪失した日本人に読んでほしい」と、電力業界の実業家松永安左衛門がトインビーに面会し、同書の日本語訳の許可を得て下島さんへ翻訳を依頼した。当時54歳だった下島さんが1962年から10年間を掛けて完訳したという。

トインビー著「歴史の研究」翻訳本全25巻を前にする(左から)下島大輔さん、吉澤康道さん、埋橋浩校長、酒井茂同窓会長

翻訳本は下島さんのめいの夫に当たる吉澤さんの父(故人)が所有。下島さんの生家に託していた。伊那北高校が創立100周年を迎えた記念として寄贈を発案。下島大輔さんの知人で同校同窓生の赤羽仁さん(82)=伊那市=が橋渡し役となった。

吉澤さんは「書籍は母校へ寄贈するのが一番よいと考えた」とあいさつ。連さんのおいになる下島大輔さんは「おじは英語一筋だった人。夏休みには毎年実家に来たが、歴史の研究の翻訳中は東京の自宅にこもり、駒ケ根には来なかった」と回顧。「母校で本を預かってもらえば本人も喜ぶ」と述べた。

酒井会長は「寄贈は大変な栄誉。生徒の皆さんによく見ていただくようにしたい」、埋橋校長も「現役の教師、生徒が目にしたことがない書物と思う。我々にとっても貴重な財産になる」と感謝した。

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