2021年6月4日付

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バキバキと音を立てて炎が家をのみ込み、噴き出る煙が空を覆う。その現場をめがけて消防団員が次々に駆け付けてくる。すかさずホースを伸ばして放水を開始。互いの動きを読んだ連携と素早さは訓練のなせる業▼災害現場で果敢に危険と対峙する姿は頼もしく、行方不明者の捜索では家族の頼みの綱となる。身分上は特別職の地方公務員ながら、その日常は職場で席を並べる同僚や隣家の息子、娘さんたち。本業と生活に加えての地域活動だ▼緊急時には昼夜なく、日頃は防火の啓発、休日返上での訓練。地域の行事では安全係を務め、盆も年越しも屯所で警戒をしながら迎える。奉仕というには余りあり、近頃のなり手不足もうなずける。勧誘先で「うちの子にそんな大変なことをさせたくない」と断られる▼ちまたでは、飲酒後に消火活動へ従事した団員を住民が問題視する声があるそうだ。飲酒は判断や行動を鈍らせるから、危険の多い現場で強い注意の自覚が要るのは当然ながら、「団員なら酒断ちを」と求めるような議論は筋か。食事も途中で駆け付ける士気を思う声もある▼富士見町は昨年来、消防団員と家族の労に報い、集落の担い手として大切にしたいと各種制度で優遇している。団員の献身を住民に知ってほしい願いがある。誰に強いられずとも法被の誇りと責任を負い、地域の守りに尽くす若者たちを感謝で支える住民でありたい。

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