2021年6月6日付

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雨の日の通勤途中、信号待ちをしている車の前を4~5羽のツバメが通り過ぎていった。大雨というほどではなかったが、予報の通り、朝から本降りになっていた。風があり、歩道の高校生たちは前の方に傾けた傘をしっかり握って歩いていた▼鳥たちはぬれても大丈夫なのだろうか。羽は重くならないのだろうか。子どもの頃から疑問だったことをふと思い出した。同じ日、天竜川の上に架かる電線にはいつものトビがいた。餌が流れてくるのを、雨の日でも待っているのだろう。まだ増水していない川面をじっと見ていた▼生物に備わった構造や優れた機能を模倣して、技術開発に生かし、産業や暮らしに取り入れていく技術のことをバイオミメティクス(生物模倣技術)という。昔からある考え方だそうだが、いろいろな分野に応用されていて面白い▼ヤモリの足の裏の粘着性に着目した化学メーカーが生み出したのは、接着物質を使わない粘着テープ。医療機器メーカーが開発した痛みを感じにくい採血針には、蚊が血を吸うメカニズムが生かされたという。十数年も前のことだが、サメ肌の流体抵抗を減らす構造を使って泳ぎのスピードを速めた競泳の水着が話題になったこともあった▼鳥の羽のような雨具があったらいいのに、と思った。さっきのツバメは、この程度の雨なら大丈夫―とでもいうかのように、急旋回して目の前を通り過ぎていった。

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