2021年6月7日付

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初めて訪れた食堂で何を食べるか迷ったときはカレーを頼むようにしている。経験上、めん類や定食の場合、想定外な料理が運ばれてくることもある。許容範囲を逸脱することの少ないカレーには絶大な信頼を寄せている▼可もなく不可もない。そんな印象のカレーも多いが、過度な期待を抱かない分、予想を上回る味に出くわしたときの喜びは大きい。まちの中華料理店や居酒屋にも隠れた逸品があり、自分好みの味を探すのが面白い▼取材を担当している伊南地域はカレー巡りが楽しいエリアだ。日本人の原風景とでも言うべき家庭的な味わいのカレーから、スパイスのバランスが絶妙な本格派まで。タイ、ネパール、スリランカ、バングラデシュなど国際色豊かなカレーも味わえる▼豪快に盛り付けられたご飯を覆うやや黒っぽいカレー。見た目に反して洗練されたその味に魅了され、知り合いにも薦めてきた店がある。転勤を機に足が遠のいていたが、先日約4年ぶりに訪ねてみるとすでに閉業していた。コロナ禍で立ち行かなくなる飲食店は多いが、個人的にこの店の喪失感は大きい▼身近にあると見失い、失って初めて大切さに気付かされることがある。地元の愛すべき味もその一つ。私たち自身が店を利用し、守っていかなければ存続が難しい時期にある。「きょうはカレーを食べに行くか」。そう思ってもらえたらカレー好き冥利に尽きる。

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