2021年6月19日付

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駆け出しの頃に取材したことの一つに産業廃棄物処分場の問題がある。普段はあまり立ち入らないような山の中。そんな所にある日突然、廃棄物の山が現れる。沢筋や窪地のような場所が多く、下流域の水質汚染が心配された▼だが、法令に適合していれば行政も手出しできない。土地所有者は地元に住んでいないケースもあり、安易に売ったり貸したりしてしまうのだという。地元住民や自治体担当者の苦悩をいくつか見てきた▼そんな既視感を感じる昨今の太陽光発電施設を巡るトラブルである。山の斜面が切り開かれ、巨大なパネルが設置される。土砂災害の危険がある場所だったりするほか、放置されたパネルが発火したり、有害物質が流れ出したりする恐れも指摘されている▼自治体はガイドラインを設けるなどして災害の恐れがある場所への設置を避けることや地元住民の同意を得ることなどを求めている。だが、事業を分割して規制を逃れたり、土地所有者や事業者の変更を繰り返したりして実態がつかみにくいケースもある▼こうした発電事業を後押ししているのは、電力の固定価格買い取り制度である。わたしたちも無関係ではない。電気料金の請求書を見れば、再エネ発電促進賦課金なるものが徴収されている。当該地域の問題にとどめず、地域全体としてどのようなエネルギーを促進していくのか。考え直す時期に来ているのではないか。

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