2021年6月21日付

LINEで送る
Pocket

「食べてもおいしいですよ」。この春、宮田村にあるウイスキー蒸留所で地元産二条大麦のみを使ったウイスキーの仕込み作業を取材した。担当者に促されるままに麦芽を口に運べば、その自信に満ちた言葉に得心。口に広がる香ばしさと甘みに完成への期待が高まった▼水田の新たな転作作物を探る中、2015年に始まった農業の6次産業化を目指す事業。駒ケ根市と宮田村で大麦を栽培し、地元酒造メーカーと連携して17年から地ビール、昨年からウイスキー造りに取り組んでいる▼中央アルプスの伏流水と山麓で栽培された大麦、地元にある蒸留所。恵まれた地域資源を活用して高付加価値の商品を生み出す挑戦は、農業と食品製造、流通販売を組み合わせた6次産業化の教科書的な事業と言える▼黄金色に輝くほ場では今月、6年目となる収穫作業が行われている。当初12アールから始まった栽培は898アールまで拡大。生育は順調といい、品質、収量とも期待できるそうだ。地元が連携することで「製品が出来上がっていくのが楽しい」と話す関係者の笑顔に取材する側も元気をもらった▼地元産大麦を使った初のウイスキーは23年春以降に味わえる見通し。コロナ禍の閉塞感が漂う時代にあって未来に期待を抱かせる話題はうれしい。完成に至るストーリーをかみしめながらグラスを傾ければ、その味わいにいっそう深みを添えてくれるだろう。

おすすめ情報

PAGE TOP