2021年6月22日付

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少し北側から眺めると将棋の駒の頭の形に見える、中央アルプスの将棊頭山。主峰駒ケ岳から少し離れていることもありなじみが薄かったが、頂上直下にある西駒山荘の建て替えの取材を通し、身近に感じるようになった▼新田次郎の小説「聖職の碑」で知られる学校登山の集団遭難を受けて建てられた山小屋。2013年、1世紀を経て残る石室を整備しようと、床に張るレンガを人力で運ぶイベント「西駒んボッカ」を取材した▼あいにくの雨だったが、ゴールした人たちを多く撮りたいと思い、雨と汗でびっしょりになり、疲れを感じても構わずに山道を急いだ。順調と思っていたが、稜線に出た途端、強い風にあおられた。一気に体温が奪われ、体が動かなくなっていくのが分かった▼何とか小屋にたどり着くも、手が震え字が書けずカメラも持てない。頭も働かない。幸いにも先着していた同僚にその場を任せ、小屋に飛び込み暖を取ったことで事なきを得た。小屋や暖房がなかったらどうなっていたか―。集団遭難を追体験したような気分。将棊頭は教訓の山になった▼各地で山開きが行われ、夏山シーズンが幕を開ける。「密」を避けた環境を山に求める人もいるだろう。昨年はコロナ禍の影響で遭難の数は減ったが、県内では死者が増えた。登山は危険が伴う。過信は禁物。くれぐれも基本とされる十分な装備と余裕ある行動で、楽しい山行を。

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