食品ロス 先人の教え、継承したい

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ご飯粒を残すと目が潰れる―。小さかった頃の話だが、茶わんに米粒を残す度に、祖母から決まってこう言われたことを鮮明に覚えている。今にして思えば、食べ物を残したり、粗末にしてはいけないという戒めの言葉だが、先人の教えが今日の社会に生かされているとは、お世辞にも言い難い。まだ食べることができるのに、簡単に捨てられる「食品ロス」が大量に発生しているからだ。

農林水産省や環境省によると、国内では年間に642万トンの食品が、食べられるのに捨てられている(2013年度推計)。売れ残りや賞味期限切れの商品、食べ残しなどによる廃棄が主な要因とされているが、世界で飢餓に苦しむ人たちの食料援助量を大きく上回っている。

国内の食料自給率(カロリーベース)は4割前後と低いことで知られる。それ以外を海外から輸入しているにもかかわらず、食べられる食料を大量に捨てているのが実態だ。この現実を直視して、食品に関わる産業界だけでなく、家庭を含む社会全体で食品ロスを減らす取り組みが求められる。

そうした中にあって、松本市が11年度からスタートさせた「残さず食べよう! 30・10運動」が全国から関心を集めている。

会食や宴会での食べ残しを減らすため、乾杯後の30分とお開き前の10分は席を立たずに、料理を楽しもうと呼び掛ける取り組みだ。今年7月からは、この運動に賛同した飲食店や宿泊施設などの推進店と事業所を認定する制度も創設し、運動の推進に弾みがついた。

14年度から始めた家庭版「30・10運動」も成果を上げている。毎月30日を「冷蔵庫クリーンアップデー」、10日を「もったいないクッキングデー」と定め、食品ロス全体の半数を占める一般家庭への啓発に乗り出した。保育園児を対象にした食育教育も行い、食品ロスに対する保護者の意識も着実に変化してきたという。参考にしたい取り組みだ。

大切な食べ物を捨てないためには、おいしく食べられる「賞味期限」と、期限を過ぎたら食べないことが望ましい「消費期限」の違いを知ることも削減に役立つ。食べ物を無駄なく消費することで、焼却処分されるごみの減量化にもつながる。家計も助かるし、地球環境にも優しくなれる。

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