2021年6月25日付

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相撲足腰(すもう・あしこし)は、島根県の宍道湖で捕れる代表的な魚種の覚え方である。スズキ、モロゲエビ、ウナギ…。「し」はシラウオとシジミ、「こ」はコイを指す。宍道湖七珍と呼ばれる▼海水と淡水が混じる汽水湖で、魚種の豊富さで知られている。七珍の呼び名は昭和の初めに生まれたそうだが、7種に絞るまでには相当な議論もあったようだ。「あ」はワカサギである。甘い身から、地元では「アマサギ」として親しまれる▼12年前、取材で訪ねた宍道湖漁協(松江市)で当時の役員に教わった。アマサギはかつて年数百トンの漁獲量があったが、1994年の猛暑で大量死してから状況が一変。その後10トン台に落ち込み、やがて1トンに満たなくなった。七珍の一つが危機的な状況であることを知った▼諏訪湖でもその後、ワカサギ大量死が起きた。全国湖沼への卵供給地でもあるが、近年は遡上する親魚が少なく、今年は極度の採卵不振で出荷を断念している。えび漁も資源保護のため20日間で打ち切った▼諏訪湖は水質改善の「トップランナー」とされてきた。透明度も向上する。湖畔に人が戻ったことは水がきれいになり、匂いも減り、なぎさが整備されるなどした成果であろう。生き物との共存共生は道半ば。きれいで魚多しだった昭和30年代の湖の復元はできないが、少しでも近付けられるよう住民参加・協働で粘り強く取り組みたい。

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