2021年6月26日付

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オタマジャクシが水田を泳ぎ回る季節になった。南信地方の方言では「オタマッコ」とも言う―と1992年の発行の『長野県史 方言編』で知った▼当時の高年齢層から聞き取った調査のようで、県内全域を見渡せば北部ではキャランボ、東部ではゲーロタマ、松本周辺ではアマッコなど、細かく数えれば50を超える多彩な方言があることに驚く▼さらに、伊那谷に生まれ育って四十数年の自分が「オタマジャクシ」しか知らないことにも驚いた。テレビなどのマスメディアの普及で共通語化が進み、方言が失われてゆくことに今さら驚いても仕方ないが、くつばす(くすぐる)、チッチ(じゃんけん)など、聞き覚えのない言葉が採録されているのを読むと、寂しくなる▼開会中の県議会6月定例会の一般質問で、『長野県史』の「戦後編」の編さんに早急に着手するよう提案があった。戦災からの復興、県土の開発、町村合併、感染症や災害への対応などを歴史として後世につないでいくべきだが、体験者の死没や資料の散逸が進み、編さんに支障が生じる│との訴えだ▼教育長は「多くの県民の協力や長い時間と費用、しっかりした組織体制が必要な一大事業であることから、直ちに戦後編に着手することは慎重な検討が必要」と消極的な姿勢だったが、変化が激しい今のような時代だからこそ立ち止まって歴史を見直したい。前向きな検討を期待する。

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