2021年6月27日付

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読書中、要点には付せんを貼る。他の本に比べ、圧倒的に付せんの枚数が多いのが、ノンフィクション作家立花隆さんの作品だ。内容が濃く緻密な上に分かりやすい。数々の名著を残した立花さんが今春死去した。享年80歳▼立花さんは1テーマに付き、数百冊の関連本を読み、取材し、ルポにまとめた。生前「読書は本を書くためだけでなく、本来持っている知的欲求が大きい」とし、自身を「異常知的欲求者」と表現した。「取材対象の研究者は、こちらの知識レベルが高くないと、質問には真剣に答えない」とも述べている▼両親が読書家だった。中学3年の時の作文には「家で父母が文学の話をする時がある。僕にはわからない事が多く、何か取り残されたような気がしてつまらない。そこで僕も本を読んで知識を得ようとした」と読書のきっかけを書いている▼読書の秘けつは「欲しい本を迷わず買う」。お金を使うと元を取るために読もうとする気持ちが強まるという。本選びは失敗を恐れずに続けると選択能力が高まる―などと著書「ぼくはこんな本を読んできた」(文藝春秋)にある▼死去前、資源の乏しい日本の将来に向けて「科学による知的財産創出の必要性」を唱えた。超高齢化社会を乗り切る技術の開発が、続いて高齢化を迎える諸外国に必ず必要とされ、「日本の食いぶちになる」と提言した。改めて立花さんの本を読み直したい。

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