2021年7月4日付

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標高2600メートルを超える雲上の世界。中央アルプス千畳敷カールの雄大な景色を前に駒ケ根市出身の40代の女性は「中学生以来」と懐かしそうにつぶやいた。ロープウエーを使えば市街地から1時間ほどの距離。地元住民にとっては近くて遠い場所なのかもしれない▼県内の中学校では今年も2年生対象の集団登山が行われる。上伊那地方では中アの主峰・駒ケ岳に登る学校がほとんど。新型コロナウイルスの影響でロープウエーを使った短縮型の行程になるようだ。各校では本番に向けた事前学習も行われている▼30年以上前の話だが下伊那地方の中学に通っていた私も駒ケ岳登山を経験した。重りを入れたかばんを背負っての登下校、近隣の山での予備登山。楽しかった思い出もあるが、当時を思い返せば、まず「きつかった」という記憶がよみがえる▼「二度と登りたくなくなるのでは」。県外から移住してきた男性が先日、山の厳しさをたたき込む学校登山の在り方に疑問を呈し、こう指摘した。地元にUターンする若者が少ない現状をかんがみ、地域資源ともいうべき中アへの愛着や誇りが希薄なことを憂いたものだ▼学校登山は体力や精神力、協調性などを育む機会として評価されている。一方で過酷な経験を通じ、山への苦手意識を植え付ける懸念もある。山に親しみ、楽しむ。郷土愛を育むためにも子どもたちにはそんな経験を重ねてほしい。

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