2021年7月10日付

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コロナ禍で、感染リスクを避ける野外活動が注目され、修学旅行でもアウトドア体験を取り入れる傾向にあるという。飯田市の南信州観光公社は、田舎の暮らしが体験できるプログラムを修学旅行に提供する。体験には農作業や郷土食作り、ラフティング、ツリークライミングなど約50種類がある▼この中に渓流釣り体験もあり、過去に何度も中学生の釣りのお手伝いをした。バスに乗った都市圏の生徒は総じて疲れた表情で釣り場を訪れる。なぜか男子はだるそうな感じで、これから川へ入れるこちらとしては心配になる▼だが、受け持ちの生徒6~7人を連れて川へ行き、釣りを始めると彼らは枯れそうな植物に水を与えたかのように生き生きとし、死んだような目が輝きを取り戻して元気になる。自然はいい薬だ▼ある時、悪ガキのグループを担当した。その中に一人おとなしい男子がいて、周囲のからかいを無口でやり過ごしていた。その子だけが釣り方の説明に耳を傾け、言われた通りにした。そして最初に魚を釣った。周囲は驚いて、負けじと釣りに集中し始めた▼最終的におとなしいその男子は5匹を釣り、グループ内トップの成果を上げた。周囲は釣果の差を認めざるを得ない。帰路のバスへ向かう彼に「すごかったよ。また来てね」と声を掛けると笑みを浮かべてうなずいた。彼が体験を通じて感じ、考え、次の一歩につながればと願った。

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