「選定保存技術」保持者に飯島の志村さん認定

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「選定保存技術」の保持者に選定され、在来絹製作にかけてきた人生を語る志村明さん=飯島町の自宅で

国の文化審議会は16日、文化財保存に不可欠な「選定保存技術」の保持者に、在来絹製作で飯島町飯島の志村明さん(69)を認定するよう文部科学相に答申した。

志村さんの技術は、近代の製糸工業発展の中で変容した絹糸製作と一線を画し、分業による大量生産が始まる明治以前の在来技術を追求。養蚕から製糸、織までを一貫して手掛け、文化財の染織品補修に必要な絹材料(きれ、糸、真綿)として提供される。

国宝に指定される琉球国王・尚氏の関係資料のうち、2007年に修理された「白地牡丹尾長鳥燕鶴菖蒲文様紅型平絹衣裳」(沖縄県那覇市所蔵)、重要文化財で2012年~14年修理の「蝶梅文様縫狩衣」(岐阜県白山神社所蔵)など、数多くの文化財修理に使用。繊細で精度の高い技術で、極めて希少な存在として評価されている。

高校生の時に、当時の社会情勢に疑問を持ったという志村さん。物事の本質を知りたいと考えるようになり、分業が確立されている絹に着目。沖縄の竹富島で絹織物の一貫生産を手掛けた。

「どう考えても行きつくところはこれしかなかった。自分の生きている間にすべてが完結できる」という天職。大学の研究対象だった在来種の蚕を譲り受け、それを維持するために卵を育てる技術も確立した。入手困難な、蚕種に適した桑も自ら栽培する。

愛媛県野村町(現西予市)のシルク博物館付属織物館染織講座講師などを経て、湿度が低く水が豊かで製糸に適している飯島町に2003年に移住した。

「今まで全工程をすべてやるという発想をする人がいなかった。そこに気付き、50年もの間やってここまで分かってきた。やっていることが過剰なのかもしれないけれど」。質を落としてまで仕事をする気はないという志村さん。日本の文化のかたまりと感じている絹の歴史を解き明かす唯一無二の技術は、国に「保存の措置を講じる必要がある」と認めさせた。

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