2021年7月25日付

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東京五輪が23日開幕した。新型コロナウイルスの影響で大会が1年延期され、緊急事態宣言下でほとんどの競技が無観客という異例ずくめの大会である。開会式直前に演出担当者の辞任や解任が続く混乱もあったが、当日の式典でマスク越しに見えた選手たちの笑顔に救われる思いがした▼ひそかに注目していたのは聖火台のデザイン。諏訪6市町村や伊那市を含む全国75市町村と文化人でつくる縄文文化発信サポーターズなどが、新潟県信濃川流域で出土した縄文時代中期の国宝土器「火焔型土器」の採用を5年以上前から要望していた▼祭りなどの儀礼に使われていたとされる火焔型土器。自然と共生した縄文文化を象徴する最高傑作であり、木材をふんだんに使った国立競技場と調和する。木と土でつくる文字は「杜」であり、宮城県仙台市をはじめ東日本大震災の被災地に心を寄せることもできるのではないか。そんな淡い期待を抱いていた▼結果はご存じの通り、太陽をモチーフにした聖火台である。金属の球体が花のように開いて「生命力や希望」を表す。新潟県のある自治体担当者は「残念としか言えないが、縄文時代も日は昇っていましたからね」と前を向く。週明けに縄文文化を発信する善後策を関係自治体と話し合うという▼さまざまな思惑が交錯する東京五輪。困難を乗り越えて集まった選手たちが力を発揮できるように温かく見守りたい。

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