2021年8月8日付

LINEで送る
Pocket

毎朝、目覚めると決まって自宅の窓から山を見る。30秒か長くて数分間、何も考えず雄大な山の風景を目に焼き付けると、心がすっきりとして落ち着くのだ。登山はしないのだが、山のパワーをもらって生きる愛好者の一人だと自称している。きょうは国民の祝日「山の日」▼2014年、山に親しむ機会を得て、恩恵に感謝することを趣旨に「山の日」が制定された。通常8月11日だが、今年は東京五輪の閉会式に合わせた連休設置のため移動した▼信州と山の縁は深い。”日本の屋根”南北と中央のアルプスが、台風の進路に立ちはだかって被害を緩和した例は数知れない。良質な木材や食べ物を育む農林業、登山やスキーの観光業でも人々は山の恩恵にあずかってきた。「海なし県」と呼ばれようとも、「日本一の山岳県だから」と笑い飛ばす誇りがある▼地域に目をやれば、そこかしこの里山が荒廃の危機にひんしている。適切な間伐や景観保全をはじめ、土砂崩れから生命を守る防災林の整備も課題。予算を配分して、対策の前提となる林業の担い手育成に着手する自治体も出てきた。人が山へ恩を返し、後世への継承を真剣に考えるときが来ている▼山を眺めて感じるのは、当たり前の存在に対する愛着か、それとも悠久の自然に対する畏敬の念だろうか。その一つ先の、山国に暮らす自分たちは何をすべきか―という心情にも問い掛けてみたい。

おすすめ情報

PAGE TOP