2016年09月18日付

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どこでボタンを掛け違ったのか。富士見町議会が9月定例会で、町が提出した今年度の補正予算案のうち地方創生の事業費を全額削除した。地方創生は安倍政権が掲げた国家戦略。全国の市町村が今一番、注力する施策だ▼富士見はIT環境を整えた共同事務所を作り、都会からの企業誘致で移住者増を目指している。予算が認められなかったのはこの事業の一環。誘致企業の技術力を町の産業に生かしつつ、企業の経営をテコ入れする狙いだった▼町の地方創生事業に「待った」がかかったのは実は2度目。駅前に移住者や観光客向けの店舗建設を計画し、地元にも望む声はあったものの、結局、住民は認めなかった。予定地がいずれ建物を取り壊す条件付きだったため税金の無駄遣いと考えたからだ。「立案段階からもっと住民と話し合いを」と町に求めた▼町長は市井の判断に、「本当に町のことを考えているのか」と苦言を呈したが、「公金でできるなら」と安易な道を選ばなかったことこそ町の将来を案じた決断ではないか。行政に主導力を期待しても独走は望まない。そんな住民の思いも浮き彫りになった▼町は事業の成果を急ぐあまり焦り過ぎたか。手段を選ばず人口を増やしても、住む人たちの幸福感が上がるとは言いきれまい。地方創生に限らずその事業を誰のため、何のためにやるのか│。まずはこの原点から行政と住民の共有が要る。

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