土石流で行方不明 小川平吉揮毫の碑見つかる

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富士見町の編笠山登山道にある景勝地「盃(杯)流し」近くに建ち、2018年秋の台風24号で起きた土石流災害後から行方不明になっていた石碑2基のうち1基が、約100~200メートル下流の沢沿いで発見された。乙事山岳会の案内で1925(大正14)年8月、盃流しまで登った元首相の犬養毅、同町出身で司法大臣や鉄道大臣などを歴任した小川平吉が揮毫した記念碑で、小川の「神仙秘境」の碑が治山事業が進められている現場から見つかった。

盃流しは、八ケ岳からの清流が巨大な一枚岩の上を流れる景勝地。曲がりくねった小川に盃を流し、流れる間に詩歌を詠む平安貴族の遊びが名前の由来とされる。3年前の災害で盃流しは大量の土砂に埋まり、右岸にあった2基の石碑もなくなった。

犬養は1924年、富士見に別荘「白林荘」を建て、その翌年に政界を一度離れている。乙事区によると、山岳会が犬養、小川を盃流しまで案内したのは25年8月30日。後日、犬養が「曲水」の2文字を、小川が「神仙秘境」の4文字を大筆で書き、現地にあった高さ2~1.5メートルの巨石に彫られた。2人の書は区公民館で保管されている。

盃流しの下流側では谷止め工2基を新設するための工事が始まり、「神仙秘境」の碑は現場にたまった巨石の中から見つかった。表面が下を向いた状態だったが、一部の字が確認でき、町を通じて乙事区に連絡が入った。

三井芳章区長は「文化財ではないが、乙事にとって大切な碑。ひびが入ったようには見えるが、無事発見されてうれしい」と語り、「曲水の碑も同じぐらい流された可能性がある。こちらも無事見つかれば」と話す。ただ、重さ数十トンの石碑を元の場所に戻すことは、費用面や地形的条件からほぼ不可能とみられており、今後の保存方法などは未定という。

2018年9月30日から10月1日にかけて県内を通過した台風24号では、八ケ岳山麓で倒木による大規模停電が発生。土石流災害では、富士見高原のゴルフ場のコースや、県道富士見原茅野線(鉢巻道路)にも大量の土砂が流れ込んだ。

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