2021年9月3日付

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校庭の雑草が増えている。新型コロナウイルスの影響や長雨で校庭が使えなくなり、除草作業が十分にできないこともあるのだろう。今年は去年に増して生息範囲が拡大し、牧草地のようになった学校もある▼生物学者でもあった昭和天皇は「雑草という植物はない」と言われたそうだ。校庭にはびこり、美観を損ね、運動の邪魔になる雑草だが、一つひとつに和名と学名があり、植物としての命は平等だ。雑草の視点に立つと人間の差別と偏見が浮き彫りになる。知らないだけ、知ろうとしないだけであろう▼長男の少年野球に付き合い、盛夏の校庭で草取りをした。長い柄の先に三角形の鉄板が付いた三角ホーを握り、せめて内野だけでもと炎天下で作業に没頭する。タンポポ、オオバコ、オヒシバ、メヒシバ…。一番の厄介者はシロツメクサで、地をはうように広がった茎と根は地面に食い付き、強く引っ張ると茎が切れて根だけが残る。何度も心が折れそうになった▼コロナ禍でPTA作業ができず、学校の用務員さんの人手にも限りがある。草に覆われた校庭を見て、子どもたちは何を感じているのだろう。草取りは大人の仕事だと思っていないか▼誰かに言われて始めるのではなく、率先垂範し、みんなと話し合って行動する。草取りは課題の解決策を見いだす場にもなろう。土に触れ、汗を流す労働は尊い。人の心をわしづかみにする不思議な力がある。

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