子どもの命と学び守れ 新学期のコロナ対策

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家庭にタブレット端末を持ち帰り、インターネット上でつながった子どもたちに向けて授業をする担任教諭=茅野市玉川小学校

年代を問わず感染力が強い新型コロナウイルスの「デルタ株」の流行を受け、子どもの感染が全国的に急増している。夏休み明けの学校で、感染急拡大が懸念される中、県内では8月後半から新学期がスタートした。子どもたちを感染から守りながら、学びの機会や子育て支援を維持するためにはどうしたらいいのか-。模索を続ける行政や教育、子育ての現場の取り組みを追った。

■オンライン授業 手応えと課題

「(答えが)分かったら、ミュート(無音)を外して声を出していいよ」。8月30日、茅野市玉川小学校の教室でパソコンの画面越しに男性教諭が子どもたちに呼び掛けた。インターネット上のテレビ会議システムでつながった6年4組の児童約30人。社会科の授業を受け、教諭の質問に答えたり、教材映像を見たりした。授業後、子どもからは「楽しかった」「しゃべりやすい」「いざというとき、何とか勉強できる」などの声が上がった。

同校ではこの日、2年生以上が家庭にタブレットを持ち帰り、午後3時からクラスごとにオンライン授業を受けた。6年担任の小尾功教諭(35)はオンライン授業に手応えを示した一方で、「子どもが内容を分かっているのか、反応が分かりにくい」とやりにくさも指摘した。4年生担任の山中信教諭(24)も「ネット上だと個別に対応ができない。ネット環境はみんなが同じようで同じではない」と課題を挙げた。

国のGIGAスクール構想に基づき、児童生徒1人1台のタブレット端末配備が全国的に進んだ。同市教育委員会では4月、「ICT教育サポートセンター」を開設し、オンライン授業支援や教員研修などをサポートしてきた。「今後は学校がタブレットを使ってどんな学習をするのか、ソフト面を考えていくことが重要」と強調する。感染症拡大による休校や学級閉鎖、分散登校に備え、普段の授業でタブレットを積極的に使うよう後押ししていく。

■学校行事工夫し 「なるべく実施」

コロナ禍も2年目を迎え、政府は昨年のような全国一律の一斉休校ではなく、地域の感染状況に応じた対応を求めている。諏訪地方の小中学校でも学びの機会を保障する工夫が続いている。

下諏訪町では修学旅行を町内4小中学校で9月に実施予定だったが、いずれも10月以降への延期を決定。多くの学校で修学旅行の行き先は県内または近隣県に変更する動きが目立つ。また、岡谷市では学校と京都・奈良をオンラインでつないだリモート修学旅行を行った学校もあった。

運動会も対策強化や規模縮小により行う方向。「子どもの学びのために、なるべく実施していきたい」(茅野市教委)との考えだ。富士見町や原村の保育園では運動会や運動発表会を子どもを分散させて行う予定。

子どもへのワクチン接種も動き出している。原村は受験を控えた中学3年生と高校3年生への優先接種を決定し、すでに接種が進む高校3年生の接種率は65%を上回る見込み。諏訪市でも中3・高3・妊婦への優先接種の予約受け付けを6日から始める。

■感情面への影響 心配する声も

小学校高学年の女子児童の母親=原村=は、タブレット端末を使ったオンライン授業の充実に期待する。「家庭に持ち帰ることで、一定期間でもクラスの半分ずつが登校すれば、人数が減り安心できる」と話す。学力とともに子どもたちの感情面への影響も心配する。「行事や大会は縮小してでもやってほしい。目標に向けて力を合わせて工夫してやっていく経験が大事。子どもたちにはコロナ後の明るい未来を見据えて過ごしてほしい」と願った。

      ◇
 感染第5波(7月1日~)の県内の感染者数は8月31日までの届け出数で2919人と、第4波(3月1日~6月30日)の感染者数2673人を2カ月以内で上回っており、かつてない速さで感染が広がっている。10代以下の感染者数は、10歳未満204人、10代401人の計605人。第4波の375人から1.6倍に増加している。感染経路の多くが同居間での家庭内感染か県外との往来に由来するとみられている。

県教育委員会は、コロナ禍の県立学校における教育活動について示す「県立学校運営ガイドライン」を策定。市町村教委や私立学校などにも通知している。夏季休業後の対応について、生徒の接触機会を低減するために、対面授業やオンライン授業、自宅学習の併用、部活動や外部交流を伴う学校行事の原則停止などを求めている。

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