2021年9月10日付

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「ゴオーというすごい音がした」「森の土を掘り返した時のような臭いが強烈に漂ってきた」―。茅野市高部で5日夜に発生した土石流。住民の言葉から、豪雨と土石流のすさまじさが伝わってくる▼近くにある県の観測局「杖突峠」ではこの夜、1時間に63ミリの雨量を観測。周辺地域から突出しており、局地的な豪雨が発生していた可能性があることが、本紙の調べで分かった。近年増えている異常気象の特徴の一つだ▼下馬沢川からあふれた土砂は直径が人の大きさを超えそうな大きな石も多く含み、72件もの建物被害を引き起こした。一方で、幸いにも人的被害は免れた。多くの住民が声を掛け合い、事前に避難していたことが功を奏したと聞く▼2014年の県北部地震で、倒壊した家屋に多くの人が取り残されながらも、住民の素早い救助で死者を1人も出さなかった「白馬の奇跡」を思い出す。隣近所が互いの家の状況や事情を知り、支え合いの関係ができていた「結」の力が注目された▼高部でも地区や消防団などが連携し、事前に各戸を回って直接避難を呼び掛けたという。再び雨となった8日も、藤森芳久区長は下馬沢川上流域の家を回り二次災害に備えた。岡谷市を中心に水害が起きた8月中旬から不安定な天候が続き、上伊那でも避難指示が出された。空振りだったらそれでいい。まずは逃げて―。「高部の奇跡」に学び、命を守りたい。

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