御嶽山生還ガイドが伝える現場 小川さん刊行

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御嶽山噴火を振り返る著書を出版した小川さん

御嶽山噴火を振り返る著書を出版した小川さん

戦後最悪の火山災害となった2014年9月27日の御嶽山噴火から間もなく2年。頂上付近で被災し生還した飯島町の登山ガイド、小川さゆりさん(45)が、著書「御嶽山噴火 生還者の証言」(ヤマケイ新書)を山と渓谷社から出版した。自らの体験や生還者の証言を元に災害を振り返り、そこから得た教訓を伝えている。

小川さんは災害当日、ガイドの下見のために御嶽山へ。頂上付近にある一の池の外輪山、火口から約350メートルの地点で噴火に巻き込まれた。降り注ぐ噴石から身を守るためとっさに岩陰に身を隠すと直後に周辺は火砕流で真っ暗に。「絶対に生きて帰る」との思いを胸に、噴石が収まった隙を逃さずに山を駆け下り生還を果たしたという。

災害を振り返る中で、「噴火を正しく知り、生死を分けた要因を突き止めたかった」と、生還した登山者や山小屋関係者ら20人以上を取材。噴火災害を調べた産業技術総合研究所の及川輝樹主任研究員の分析も加えたところ、小川さんが被災した地点に火砕流が到達したのは噴火から約20秒後だったことが分かった。17人が犠牲になった火口近くの八丁ダルミへの到達時間は約10秒、42人が犠牲になった山頂の剣ケ峰付近は60秒ほどだったという。

証言などから「生還した人たちは、火砕流が到達するまでに岩や建物に身を隠すなど何らかの避難行動を取っていたことが分かった」と小川さん。「危険を感じたらすぐに命を守る行動に移れるよう、危機意識を持つことが大切」との教訓を得たと強調する。

一方、悲惨な現場を目の当たりにしたことから、いまだに自責の念を抱え続ける生還者が少なくないことも分かった。小川さんは「現場は自分の身を守るだけで精いっぱいで、他人を助けるのは難しい状況だった」とし、「多くの人に当時の状況を正しく知ってほしい」と話している。

新書判、252ページ。880円(税別)。書店のほか、22日に駒ケ根市菅の台に開店するアウトドア用品店・アウトドアショップK駒ケ根スポーツ館でも販売する。

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