旧陸軍第1師団の大演習 明治期の報告書発見

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入手した報告書に目を通す伊藤修さん

飯島町山久の郷土史家伊藤修さん(71)は、明治期に旧陸軍第1師団が実施した演習の初期の報告書を発見した。日清戦争前の1891(明治24)年に静岡県の富士裾野演習場(現・東富士演習場)で行われた大規模な演習について報告した内容で、伊藤さんは「軍備拡張期の具体的演習の一例」と指摘。これまで発行された文献では同演習場の利用開始時期について日清戦争前後または1896(明治29)年と説明されており、その歴史を解明する史料として注目している。

伊藤さんは今年、町内で見つかった明治期の日誌を基に1897(明治30)年から3年間にわたる陸軍歩兵第15連隊の演習日誌を翻刻、自費出版している。報告書はその研究の一環として古書店から購入した史料のひとつ。富士裾野演習場を使用した陸軍初とみられる報告書を入手した。

明治24年に富士裾野演習場で実施された演習の報告書

「明治二十四年小機動演習実施報告 全 第一師団」と題した報告書は166ページ。朝鮮半島をめぐる清国との緊張が高まる中、第1師団が同年11月に実施した大規模演習についてまとめている。演習経路には箱根峠や軽井澤峠、足柄峠が並行する歩行困難な悪路を選択。前年に実施された陸海軍連合大演習で浮き彫りになった課題を調査する「研究的演習」だったといい、兵士の体重の変化や靴擦れの状況なども報告されている。

演習場の利用開始時期については防衛研究所戦史研究センター(東京都)でも明確な回答を得られなかったといい、伊藤さんは「報告書が世間に出回っていなければ大変貴重」と指摘。歴史を重層的に理解する上で「中央の動きが中心の軍事史、政治史では語り切れない地域、庶民の歴史の究明が必要」とし、私蔵史料の発掘、研究の重要性を訴えている。

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