報道写真家・樋口さん 「歴史の証人」刊行

LINEで送る
Pocket

富士見町松目出身の報道写真家、樋口健二さん(84)=東京都国分寺市=が、2011年3月11日の東京電力福島第1原発事故の避難者15人を取材した「フクシマ原発棄民(きみん) 歴史の証人―終わりなき原発事故」を八月書館から出版した。巨大地震と原発事故が発生した当時の切迫感、故郷を追われて暮らす人々の苦難と絶望を克明に記録した。樋口さんは「核と人類が共存できないことを為政者たちは真剣に考えるべきだ」と話している。

樋口さんは1973(昭和48)年から、原発被曝労働者に焦点を当てた取材を開始。77年には、敦賀原発1号機炉心部の労働者を初めて撮影し、人海戦術が不可欠な原発の作業実態を暴く。79年に写真集「原発」を発表。「原発の樋口」と呼ばれながらも、経済発展の裏側で虐げられる人々を撮り続けた。2011年の原発事故では一般住民にも放射能が降り注いだため、避難を余儀なくされた「原発棄民」のインタビューを思い立った。

「フクシマ原発棄民―」には、原発事故発生時、百貨店の店員や保育士、原発労働者、妊婦、農家、小学生、元東電社員らの証言が掲載されている。避難を決断した経緯や見知らぬ土地での暮らし、いじめ、支援者との出会い、古里や家族への思い、原発への憎しみが生活者の視点から切々とつづられている。事故から10年を迎えた現在の心境も追記した。

樋口さんは「平和なはずの家庭生活が『平和利用』をうたう原発によって崩壊された」とし、「この歴史証言というべき真の心情は後世の人たちの心に深く刻まれ、核の『平和利用』などあり得ない現実を受け止めてもらえると確信している」と語る。

書籍は367ページ。原発事故直後の飯舘村や南相馬市、避難者を撮影した樋口さんの写真も掲載した。価格は2200円。

おすすめ情報

PAGE TOP