2021年9月29日付

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真っ赤な太陽が水平線に沈む瞬間をじっと眺める。少し間があり、気付くと東の空に月が輝いている。深夜になり足元に打ち寄せる波と頬をかすめる風を感じながら上空を見上げると、同じ星がさっきとは違う位置で光っている。気付くと朝、東の空が明るみを帯びる▼海辺に通い、浜から魚釣りをし始めて久しい。釣果の有無にかかわらず、こうした環境に身を置くことが、知らないうちにたまった心の疲労を癒やしてくれる。夜釣りでは大物を狙い、睡魔を押して釣り続けるため体力的に疲れるが、一晩眠ると復活する。人は自然の一部であり、健全性を保つには野外活動がいい▼魚が釣れないとストレスがたまりそうだが、釣果は無くても心の奥で「殺生をしなくて済んだ」という安どの仕方がある▼目下、仕事が忙しさを増し釣りどころではない。だが、昔から「釣りがある」と思えるだけで幸せでいられた。例えば自分は行けなくても、他の釣り人が川に立っているのを見るだけで、あれこれと釣り方を想像できる。一瞬でも現実を忘れさせてくれる効能を秘める▼国は新型コロナウイルス対策で19都道府県に発令する緊急事態宣言を解除する方針を固めた。釣りは人との距離も十分確保でき、感染リスクを低く抑えられる。晩秋は夏に北方でたっぷり餌を食べて育った魚が南下を始める。魚たちと出会うためにも早く仕事を終えなければいけない。

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