2021年10月17日付

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秋深まる頃に思い出す人がいる。かつて届いた米ナスの絵手紙の印象か。円熟した人柄が秋の実りの充実感に重なる。ボランティアの代名詞のような人だった▼「仲間集めに困っているんだろう。どれ手伝ってやるよ」とにこにこしながら言う。福祉に観光、環境保護とジャンルを問わず、イベント設営、会議の司会、草刈り、道案内など何でもこい。地元ではお年寄りを集めて交流サロンを開き、困っている人の家を訪ねて相談に乗った▼踏んだ場数がものをいい、どんなアクシデントも機転と応用でうまく収める。不備や段取りの悪さがあっても細かいことを言わず「おう、任せとけ」と大きな背中が頼もしい。周囲にはいつも穏やかな笑いが広がっていて、病魔に侵され最後の床にある時もへんてこな表情を作って見舞客の心をほぐした▼社会では今どき、「対価のないボランティアは集まらない」との声も聞く。かの人のような尊い志も廃れつつあるのか。そう先行きを案じていた時、諏訪湖畔でごみ拾いやヒシの除去に汗する高校生たちに出会った▼彼らは「地域のために役立ちたい」との一心で集まり、そこで意気投合した仲間から新たなチームが生まれて奉仕活動が広がっている。好奇心もあいまって「分野を問わずとにかく何でも」と意欲が熱い。「ごみ拾いなら学校帰りにだってできるもの」。若者が軽やかに発した言葉に胸を突かれた。

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