2016年3月2日付

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随分昔のことになるが、駆け出し記者のころ、ある交通死亡事故を取材した。詳細は忘れたが、T字交差点で脇道から出てきた車が曲がらずに直進してブロック塀に衝突、運転者が死亡するという単独事故。警察の調べで現場にブレーキ痕はなく、衝突前にすでに死亡していたと判断された▼大阪市の繁華街で11人が死傷した車の暴走事故の報道で思い出した。大阪の事故は司法解剖の結果、運転者の死因は心疾患。防犯カメラの映像では、車は事故直前に路肩でハザードランプを点滅させて停車し、その後急発進して事故が起きた▼この事故を他人事として考えてはいけないとつくづく思う。移動手段として車が必需品の地方は、人口の高齢化と並行して運転者の高齢化も進む。街中を走る車を観察すれば、高齢者マークを付けた車が多いことに気付く。運転中に突然の体調不良に陥る可能性は、若い人より格段に高まる▼大阪の事故で、個人的には各自動車メーカーが技術を競っている衝突防止などの安全システムに対する考え方が少し変わった。あくまでも事故を防ぐのは車の安全装置ではなく、運転者自身の注意力と考えていたが、こうした事故を防ぐためには必要な装備とも思う▼3月は進学や就職を控えた高校生の自動車教習所通いで路上を走る教習車も多い。緊張感を忘れたベテラン運転者こそ、一歩間違えば車は走る凶器であると再確認したい。

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