2021年10月28日付

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秋といえば、そばにキノコにと好みの味覚が思い浮かぶだろう。筆者は何を置いても新米である。もちもちとした食感と豊かな甘みが口の中に広がる至福の瞬間は、この季節ならではの楽しみだ。丹精込めて米を育てる農家と自然の恵みに感謝し、一粒も余さずかみしめる▼地域の小学校では総合学習で米作りを行う。担当する町の学校も近くの田んぼを借りてボランティアに指導を仰ぎ、春に代かきや田植え、夏にあぜの草取り、秋には稲刈りや脱穀などの作業を体験する▼子どもたちはこれらを全て手作業でこなす。水を張った田んぼに素足で入り、腰をかがめて苗を植える。鎌を握って稲を刈り、古い千歯こきや足踏み式脱穀機でもみにしていく。どれも重労働で、もれなく響く「疲れた」の声。でもそんな言葉とは裏腹に、充実した笑顔が並ぶ光景を何度も見た▼「細い苗がこんなに大きな稲になるなんて」「お米って、おいしい」。素直な感想が、自ら育てた作物を収穫して味わう喜びを物語る。体験に勝る学びなし。それは彼ら自身の人生を支える大きな糧となる▼秋の国政、地方選挙は終盤戦。候補者は労をいとわずに思想や政策の種をまき、地域という土壌で有権者とともに大切に育ててきただろうか。選挙期間だけ耳当たりの良い言葉を並べても、何も実らない。一生懸命に米を育てた子どもたちに恥じないよう、輝く未来を約束してほしい。

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