2021年10月30日付

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中学校の授業で「テーマは自由。自分で見つけて」と呼び掛けると、生徒たちはすかさず携帯パソコンに手を伸ばした。慣れた手つきで膨大な情報の世界を縦横無尽に探る。図書館通いの時代とは隔世の感だ▼児童、生徒個々に携帯パソコンを配備して情報通信技術を授業に活用する国策で、地元の学校でも利用が進む。ただ、新たな課題も浮上して、国の調査では「情報モラルの不足」を指摘する声が先生や親、子ども自身からも上がった▼情報の確かさの見極めや扱い方について社会全体に甘さがあるのは否めない。何気ない、また悪意ある発言が人の社会的信用や命を奪う事象が顕在化している。いわれのないやいばが自分に向かう危険も他人ごとではない▼そんな人間の力量不足を補う頼みもまた技術力である。人工知能(AI)を持った電子レンジや冷蔵庫が自ら考え、話しかけてくる時代だ。が、「忘れているようですが」と諏訪市のシステム開発会社の鈴島涼介さんは切り出す。「AIが最適な答えを出せるように教えているのは人間です」▼AIに与える情報は膨大で、試行と失敗を山ほど積み上げて赤ちゃんを天才に育てるようなものだそう。根気と、あらゆる可能性を想定できる感性、経験が要る。技術が進み、社会が変わっても人に求められる資質はどうやら変わらない。いやむしろより人間らしさを磨く必要があるのかもしれない。

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