働き方改革 長時間労働抑制が試金石

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長時間労働の抑制に向けて「働き方改革」が始動する。政府の働き方改革実現会議の民間メンバー15人も決まり、近く発足となる運びだ。長時間労働の温床ともされる労働基準法に基づいた「三六協定」の見直しが焦点に浮上する中で、来年3月にまとめる実行計画に実効性のある改革の道筋を盛り込めるかが試金石となる。労使双方のやり抜く覚悟も必要だ。

労基法では、1日の労働時間を8時間、週40時間と定めてある。規定以上に労働者に働いてもらうには36条に基づく「三六協定」と呼ばれる労使間の協定が必要だ。その上で特別条項を結べば、さらに時間外労働をさせることも可能になる。協定は労働基準監督署に届け出る必要があるとはいえ、残業が事実上無制限になっていると指摘される由縁は、ここにある。

長時間労働の是正に向けては、有給休暇の取得推進と合わせ、これまでも厚生労働省が音頭を取って労使双方に呼び掛けてきた。にもかかわらず、残業が当たり前となっている働き方は旧態依然としたままだ。情けない限りだが、不要不急でも定時で帰社しにくい社内風土があったり、中小の経営者の中には、休まずに働いてきたからこそ今日の企業がある―といった成功体験が社員に無言の圧力となっている側面も否定できない。

働き方改革では、「三六協定」の運用について残業時間に上限枠を設定し、違反した場合は罰則を設けることも検討されるという。実現すれば、働く環境の改善につながるばかりか、労働災害や社会問題になっている過労死、過労自殺の増加に一定の歯止めをかけることが期待される。女性が企業で生き生きと活躍できる社会を実現する近道になるかもしれない。

ただ、働く側にとって気掛かりな点もある。時間外労働がなくなると毎日の暮らしが厳しくなることだ。サービス残業などは論外だが、残業があることで家計が助かっているという事情もある。もう一つの焦点となっている「同一労働同一賃金」の実現と合わせて、論議の行方を見守りたい。

政府が唱える「1億総活躍社会」実現のためには、働き方改革は避けて通れない。働く人の視点に立つことが何よりも重要だ。長時間労働が当たり前となっている現在の労働慣行に大ナタを振るうことが、その突破口となる。

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