万葉時計「秋」を発表 アシュラ時計工房

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5年がかりで四季シリーズの四作ぞろえを完成させたアシュラ時計工房代表の平林さん

今年で創業30周年を迎えた高級宝飾時計制作のアシュラ時計工房(諏訪市豊田)代表、平林隆さん(65)は、平安中期の和歌をデザイン化した自社独自ブランド「万葉時計」の新作を完成させ、10日発表した。5年がかりで取り組んできた四季シリーズ最終章の作品で、「秋」がテーマ。伝統技「たがね彫金」で日本の自然の千変万化の美を精細に表現した。

「万葉時計」は、平林さんが不変の美と独創性を求めて30年来探求し、生み出したシリーズで、「自国の伝統に沈潜して日本の美を表現すること」(平林さん)を意とし、古典の和歌を題材にしている。

「秋」の作品は平安時代の歌人、藤原敏行の「秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる」がモチーフ。枠、盤面、裏面とも白金とプラチナによる銀の単色で統一し、針のみを淡い青緑の銀箔で彩色した。「紅葉が始まる時期に吹く木枯らしの、突き刺すような寒さ」を表現しつつ、唐草模様のふくよかな曲線と陽光を表す放射状の直線を組み合わせた彫刻で、秋の実り、彩りを華やかにデザイン。腕の動きで盤面の輝きが変化する彫刻で「日本特有の陰影の美的感覚と季節を形にした」。

平面に立体感を出す彫刻技法は、ドイツの作曲家ヨハン・セバスティアン・バッハが用いた「複数の旋律を重ね合わせる多声音楽にヒントを得た」という。これまでに発表した春、夏、冬の作品の模様を随所に取り入れ、シリーズと、30年間の製作活動を包含する集大成ともなった。

四作に共通する仕掛けとして、一般的に日付や曜日が現れる四角い窓からは和歌が1日に一文字現れる。「日々を縛る時刻から離れて1300年の悠久の時と伝統技術の継承を感じてもらう」趣向だ。

サイズは直径40ミリ、重さ約86グラム。平林さんは「日本人しかもっていない美学を形にできた。日本独特のブランド確立を目指して技とデザインにさらに磨きをかけたい」と話している。

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