2016年09月27日付

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死者58人、行方不明者5人を出し戦後最悪の火山災害となった御嶽山の噴火から、きょうで2年。秋晴れの下、休日のお昼時。楽しいはずの登山が暗転した。犠牲者の冥福を祈り、一日も早い発見を願わずにいられない▼この山を半世紀余りにわたって描き続けた画家がいる。木曽町福島出身の亀子誠さんである。この春、80歳で亡くなられた。小学校の先生として主に木曽地方で勤務し、「オンタケ先生」の愛称で慕われた。晩年は松本市で暮らしながらも、やはり絵の主題はふるさとの山に向かっていた▼アトリエに何度もお邪魔し、さまざまな表情の御嶽山を見る機会に恵まれた。「来るものは拒まず」と言っているかのような包容力を感じさせる一面。反対に、すべてを拒絶するような厳しさ。真っ赤な空に白い山容が浮かぶ神秘的な油絵もあった▼10年ほど前に出版した著書「油絵で描く 信州の山並み」(日貿出版社)で、「いまだに思うような御嶽山が描けず苦慮している。山の持つ偉大な命、それがなかなか表現できない」と書いている。山を見つめることで自らと向き合い、思いを絵筆にのせる。孤独で地道な作業は、山登りと似ているかもしれない▼大きな裾野を広げる3千メートル級の独立峰の魅力は尽きない。これからも多くの人が頂を目指すだろう。万一の備えは強化されつつあるけれど、火山に対する正しい知識を身に付けて親しみたい。

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