2021年11月23日付

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野球部時代に「けつバット」という制裁を顧問教諭から受けたことがある。グラウンドに部員を並ばせて、木製バットを強振して臀部に打ち込むのである。筋肉をたたく鈍い音と仲間のうめき声を聞きながら、逃れられない痛みが近づいてくる恐怖に怯えていた▼暴力行為は絶対に許されないことだし、今こんな指導が学校で行われていたら大問題になるだろう。30年前の話を持ち出したのは、厳しく鍛えてくれた先生に仕返しするためではない。悪いのは怠慢なプレーを続けていた自分たちだということをみんな知っていた▼「けつバット」はチームが強くなるための通過儀礼であると、先輩たちは語っていた。いつ、その洗礼を浴びるのかが最大の関心事であり、そこには不安と期待が入り混じった不思議な感覚があった。足を引きずりながら部室に戻り、内出血した尻を見せ合い、みんなで笑った。困難は乗り切ったが、チームの実力は上がらなかった▼日本スポーツ協会(当時は日本体育協会)やJOCなどスポーツ関係5団体は2013年に「暴力行為根絶宣言」を採択している。暴力行為を指導として正当化する考え、言葉や態度による人格の否定、勝利のために黙認する傾向が今も残っていないか▼かつての選手は指導者に従順であることが求められた。今は互いに尊重し合う時代という。選手の自発性と主体性にこそスポーツの価値がある。

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