2021年11月29日付

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焼き網から滴る脂を眺めていると例えようのない幸福感に包まれる。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、焼き肉を楽しむ機会が増えた。人が集まれば「取りあえず焼き肉」。焼き肉文化が根付いた飯田下伊那地方の住民ならではの発想かもしれない▼伊那谷を南北に貫く国道を上伊那地方から南下すると、道路沿いに焼き肉店や精肉店の看板が目に付くようになる。「日本一の焼肉の街」と称される飯田市を中心とした南信州地域は近年、焼き肉店の密集地として注目されるようになった▼住民が焼き肉好きと十把一からげに論じるのは乱暴だろうが、親類や友人との会食、職場の慰労会など事あるごとにその機会はやってくる。子どもの頃、自宅の物置に専用の鉄板とプロパンガスのボンベが置かれていたのを思い出し、焼き肉が生活の一部に溶け込んでいたのだと実感する▼コロナ禍で大勢との会食は控えてきたが、久しぶりに訪れた焼き肉店は以前のにぎわいを取り戻しつつあった。一つの網を囲んで肉を焼き、酒を酌み交わしながら会話を楽しむ人たち。焼き肉はコミュニケーションツールとしても機能しているようだ▼11月29日は「いい肉の日」。飯田市では「飯田焼肉の日」として記念日登録されている。感染防止対策の徹底が大前提となるが、家族や友人、職場の仲間と一緒に脂の乗った肉を味わい、絆を深め合うのも悪くない。

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