辰野出身新名さん 新人文学賞受賞作刊行

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横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作「虚魚」(KADOKAWA提供)

新人文学賞の「第41回横溝正史ミステリ&ホラー大賞」(KADOKAWA主催)で大賞を受賞した、辰野町出身の新名智さん(29)=東京都=の小説「虚魚」が今秋、同社から刊行された。かねて傾注する怪談の世界を軸に、故郷である伊那谷の風景描写を重ねるなどして独自の物語をつくり上げた。受賞や単行本出版を「公の場で作品が評価され、励みになった」と喜んでいる。

作品では、怪談師の女性主人公が「釣り上げた人が死んでしまう魚がいる」とのうわさを耳にして、真偽の調査に乗り出す。同居人とともに、怪奇の発信源とされる川を上流へとたどっていく。

新名さんは、作品テーマについて「以前から怪談が好きだった。人の認識を超えた、心の中の問題を考えるきっかけをくれる」とこだわりを語る。舞台となる川は、新名さんが幼少期に親しんだ天竜川がモデル。街頭の情景を書く際にも「辰野、伊那谷の風景を思い浮かべた」という。

高校時代にアニメ作品の二次創作で小説を書き始め、現在も会社員として働く傍ら、ペンネームで執筆を続ける。初めて応募した同文学賞で、巧みな文章構成や登場人物の設定などが評価され、応募総数538点の中から大賞の座を射止めた。
 
新名さんは「受賞の知らせに頭が真っ白になった。人生でこんなに注目されたことがない」と苦笑い。インターネット書評などで反響を呼び、すぐに重版が決まった。「子どものころに見た風景、経験を生かして書いた作品。多くの人に読んでもらえたら。今後は本格的なミステリーにも挑戦したい」と話している。

四六判288ページ。価格1815円(税込み)。全国の書店、インターネットで取り扱っている。

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