岡谷蚕糸博物館の林さん シルク学会賞受賞

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賞状を手に繰糸機の前で笑顔を見せる林久美子さん

岡谷市郷田の岡谷蚕糸博物館「シルクファクトおかや」学芸員の林久美子さんが、日本シルク学会賞を受賞した。日本の近代化を支えた諏訪地域の蚕糸業に携わった人々を取材し、養蚕から製糸、染織に至る全ての技術と思いを受け継ぎ、人々に伝える活動が評価された。岡谷市関係者の受賞は2011年の高林千幸館長以来、5人目になる。

林さんは福岡県出身。熊本大学文学部史学科を卒業後、凸版印刷(東京)を経て、夫の出身地である岡谷市に移住。01年から同館の紀要編集に携わり、信州大学名誉教授で同館名誉館長だった嶋崎昭典さんの指導を受け、蚕糸技術の本質を追究してきた。

蚕糸業に携わった人々から直接話を聞き、技術指導も受け、研究成果を博物館紀要や日本シルク学会誌などに報告。博物館での糸取り実演のほか、「シルクマスク」など養蚕から製品づくりにつながる一貫した学習指導にも取り組む。NHK大河ドラマ「青天を衝け」で明治時代の座繰りを再現する撮影の技術指導も担当した。

林さんは「蚕糸業の現場で実際に働いた人たちから直接話を聞き、技術の『妙』を見ることができたことが私の幸せであり、一番の宝物」と語り、「カイコが作り出す千差万別な繭を、人間が均一な生糸にするところに技術が生まれる。技術は人の手から手へとつないでいかなければ残らない。先人が培った蚕糸技術の本質を捉え、託された思いを胸にこれからの活動に生かしていきたい」と話した。
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高林館長は「養蚕から最終製品に至る一連の技術に精通している人は彼女だけ。蚕糸業全般の経験とエビデンスを積み重ね、博物館活動に生かしてほしい」と期待した。

シルク学会は大学や研究機関、博物館の研究者、県職員、企業関係者ら約240人で組織。今年度の同賞受賞者は林さん一人で審査委員会(9人)が満場一致で決めた。林さんは19日、岡谷市で開いた第68回日本シルク学会研究発表会で受賞講演を行い、蚕糸技術の継承と普及活動について語った。

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