2021年12月3日付

LINEで送る
Pocket

日の出直前の八ケ岳のシルエットが好きだ。とりわけ冬は美しい。よく晴れたきのうの午前6時ごろ、富士見町立沢の幹線道路からは、南端にある編笠山の裾野までが幻想的に浮かび上がっていた▼なだらかで美しい裾野の出っ張りもくっきり見えた。出っ張った形になぞらえて「鼻戸屋」と呼ばれる。いまの富士見高原・創造の森である。標高1420メートルの地からは甲府~諏訪が一望でき、武田信玄が北信濃侵攻のために造ったとされる軍用道路・棒道を見下ろす。狼煙台があったと伝わる▼町中心部を挟んで向かいの入笠山は「にょうやま」と呼ばれていたという。稲わらを保存のために積み上げた「わらにょう」に似た山容からである。山の断面を見れば確かに、にょうの先端のようだ。麓のカフェの店内には、昔の呼び名を取り入れた入笠山の妖精ニョイニョイの人形があふれる▼パラグライダー愛好者からは「大鯨」と「小鯨」を聞いた。入笠エリア上空から見下ろす麓の大小二つの森が鯨に似ていて、例えば、着地までに通過するポイントが大鯨の上空に設定される。”鳥人”による鳥人のための呼び名である▼首に密着する長い襟を持つ秋冬の衣服は、「とっくり」と言ったり、タートルネックと呼んだり。呼び名は時の流れとともに移ろうが、改変や破壊につながるような乱開発はストップし、山や森の本来の姿、形を次世代に残していきたい。

おすすめ情報

PAGE TOP