迫る御柱祭[第2部]つなぐ 6、根フジで綱縒り 原・泉野

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大木を山から諏訪大社上社へと曳行(えいこう)する上社御柱祭。長さ15メートル、重さは10トン近いとされる巨木を曳行するのに欠かせないのが頑丈な曳(ひき)綱だ。地区ごとに曳綱の素材、作り方は異なるが、いずれも長さ100メートルにも達する大綱。近年では藁(わら)縄を使う地区が増えているが、かつてはフジの根づる(根フジ)が主流。原・泉野地区では現在も旧来の慣習を守り、根フジを使って綱を縒(よ)り上げる。

近年、各地区の綱縒りは、柱担当を決める2月15日の抽籤(ちゅうせん)式を経て、2月中旬から3月末にかけて行われているが、かつては農事はじめの「事八日」(2月8日)に行う地区が多かったという。曳綱の現在の材料は、藁綱の中に鋼鉄製ワイヤーまたは針金(八番線)を縒り込む地区、既製の玉綱をいく筋も合わせて縒る地区、昔ながら根フジを縒って作る地区などさまざまだ。

原・泉野の曳綱は根フジを主とし、上等手すり縄またはこすり機械縄が使われる。地上に出たつるを使わず根フジを使うのは、より多くの水分を含み、丈夫だからだという。綱の長さは申し合わせにより総延長約100メートルで、元綱は約30メートル、中綱と末綱は約36メートルと決められている。

このうち根フジを使う部分は、原では柱と綱をつなぐ「わなぐり」、元綱、中綱、末綱までで、一戸につき根フジ十尋分(1尋はおよそ両手を広げた長さ)を拠出。泉野は中綱まで根フジを使い、一戸二十尋分を拠出する。それぞれ地元の私有林や区有林などで根藤を確保し、綱縒りまでの間、自宅の池や川などに沈めて保管し、乾燥を防ぐ。

3月、一箇所に集められた根フジは、品質や太さごとに選り分けられる。その後、根フジを十数本まとめて縒りをかけ、これを3本作った後に束ね、鉄製の道具を通してさらに縒り上げ、1本の綱に仕上げていく。昔から変わらぬ人力が頼りの力仕事で、綱縒りには数百人の氏子が集まり、力を合わせる。

原・泉野の責任総代を務める小池一彦さん(60)=原村柳沢=は「根フジを使うことで通常より綱は重さを増し、曳行も大変になるが、脈々と受け継がれている伝統を絶やすことなく次の世代に伝えていくことが、今を生きるわたしたちの役目」と話す。

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