2021年12月20日付

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新型コロナウイルスの潜伏期間は1~14日とされる。この2週間を祈る思いで過ごした人々がいた。来春の諏訪大社御柱祭に向け、御柱の曳き綱を製作した上諏訪地区奉賛会の氏子たちである。総勢300人で綱を打ち始めた5日から数えてきょうが16日目。参加者から感染者が出たとの報告はない▼御柱祭。正式には式年造営御柱大祭。起源は諸説あるが寅年と申年の7年目ごとに諏訪大社上社、下社の宝殿を造営し、諏訪湖の南北にある四つの社殿の四隅に巨大な柱を曳き建てる。氏子の奉仕で1200年以上続いてきた▼「人を見るなら諏訪の御柱」と言う通り、巨木を人力で運ぶ御柱曳行は密集、密接が大前提となる。地域代表の大総代でつくる曳行組織は11月16日、御柱祭実施に向けた指針を発表し、役員や各係、曳き子らの参加基準を示した。勇壮さで知られる上諏訪地区の氏子が感染対策を徹底したのは、人力へのこだわりがあるからだ▼全日本郷土芸能協会の調査だと、全国59団体のうち9割以上が新型コロナの影響で公演の中止や延期、縮小を経験した。一方、当たり前のように繰り返してきた祭りや芸能の意義を見直す機会にもなったという▼御柱の諸行事で奏上される祝詞。聞き慣れた「平けく安らけく」は平穏への祈りか。言葉には精霊が宿るという。神と人が交感する祭りはどうあるべきか。コロナ禍の今こそ考えたい問いである。

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