2021年12月23日付

LINEで送る
Pocket

10年ほど愛用する車が、キシキシと不穏な音を立てるようになった。ろくな手入れもなしに16万キロ超を走ってくれたがついに限界かと、急きょ富士見の整備工場に飛び込んだ▼突然にもかかわらず、「見てやるから置いて行け」と頼もしい。漠然とした不調の訴えにもかかわらず、丹念に不具合を見つけて直してくれた。内心は買い替えを進言したいだろうに、寒い懐事情と亡き父との思い出を酌んで面倒を見てくれる▼費用は極力抑えて直せるものはとにかく直す―という親子二代の良心的な人柄と腕前を頼る人は当然多く、工場はいつも修理待ちの車で混む。思えばかつては道具でも衣類でも故障や傷みが出ればまず修理を試みるのが基本だった。「一つの物を長く使う」精神と職人技が暮らし、社会を支えていた▼現代は市場に品物があふれ「直すより新品を買った方が安い」などと以前とは真逆な状況すらある。だが、そんな経済構造もここへきてつまずいた。あらゆる製造現場で資材が不足し「作りたくても作れない」状況が続いている。価格も値上がりの一途だ。地球規模では資源の枯渇が迫っている▼世界が「SDGs(持続可能な開発目標)」を掲げて大量生産・大量消費からの転換に動く中、かつての暮らし方に学ぶのも実践のヒントになりそうだ。大掃除に際し、古い物を惜しんで捨てられない性分にも言い訳が立つ時代になってきた。

おすすめ情報

PAGE TOP