松澤宥に脚光 来年生誕100年各地で企画展

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生涯、下諏訪町を拠点に芸術活動を行い、日本のコンセプチュアルアート(観念アート)に多大な影響を与え、世界の美術界に名を残した故松澤宥さん(1922~2006年)。近年、アメリカ5都市で松澤さんの企画展が開かれ、2022年の生誕100年に合わせて1月末から下諏訪町の諏訪湖博物館・赤彦記念館、2月からは県立美術館でそれぞれ企画展が予定されるなど、松澤さんの評価が再び高まっている。

■観念芸術に没頭 新境地を開拓

松澤さんは早稲田大学在学中に詩作を始め、卒業後に美術の世界に転身。1955年に渡米し、帰国後に絵画やオブジェなどの創作を開始した。64年に「オブジェを消せ」という啓示を受けたといい、以降観念芸術に没頭した。

日本におけるコンセプチュアルアートの第一人者として独特のアプローチから芸術の新境地を開拓。行き過ぎた物質文明、資本主義社会に警鐘を鳴らし、「消滅」をキーワードに、記された言葉やそれを読み上げる儀式自体を作品として発表した。

■諏訪湖博物館や県立美術館でも

諏訪湖博物館は1月29日~3月21日、「松澤宥生誕100年祭」を行う。スワニミズム美術部が中心となって組織した実行委員会(林聡一実行委員長)が企画し、松澤さんに関する作品や資料などを管理する一般財団法人「松澤宥プサイ(Ψ)の部屋」や県立美術館などの協力を得て開催する。

会場には松澤さんの言語作品やパフォーマンス写真のほか、松澤さんの創作の変遷をたどる年表なども展示。2月6、19日には同博物館でトークイベント、2月13日には「サウンドインスタレーション&パフォーマンス『22の音素による音会幻想』」も開く計画だ。

期間中、「まちなか展覧会」として下諏訪町と諏訪市内の宿泊施設やカフェなど8カ所で松澤さんに関するミニ展示も行われる(1月29日~2月13日)。

県立美術館の企画展「生誕100年 松澤宥」は生誕日の2月2日に開幕。会期は3月21日まで。芸術家としての原点となった建築や詩、各種展覧会に出品した絵画作品、啓示を受けて以降の国内外で発表された言語作品やパフォーマンスなどを紹介。また松澤さんの伝説のアトリエ「プサイの部屋」の一部をVRで体験できるという。

実行委員長の林さんは「松澤宥さんは知れば知るほど面白い人で、ずっと下諏訪に住み続けて一生を過ごしながら世界に作品を発表し続け評価を受けた稀有な存在」と話す。

県立美術館学芸員の木内真由美さんは「松澤宥さんは大芸術家。多様な作品を残し、コンセプチュアルアートの世界で大きな足跡を残した」と、その功績を称賛。「美術業界の人は皆知っているが、どんな人はかあまり知られていない作家で、この機会に知ってもらいたい」と話す。

プサイの部屋の代表理事を務める松澤春雄さん(77)は「せっかく諏訪に生まれた人なので諏訪の人にもっと知ってもらい、若い人にも広めていきたい」と話している。

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